Vol.5
サプリメントとは健康食品に分類される食品で、ビタミンやミネラルなど健康の維持増進に役立つ特定の成分を濃縮し、錠剤やカプセル状にしたものです。不足している栄養を補う目的で摂取したり、疲労回復、美容やダイエット目的で摂取したり、性別や年齢によって目的は様々です。サプリメントの情報はテレビや雑誌、インターネット上などで氾濫していますので購入する前にご自身が本当に必要なものかをよく考えてみる必要があります。サプリメントを利用する前に、まずは毎日の食事から必要な栄養素を取り入れることを考えます。そのためには栄養バランスの良い食事を心がけ、食事内容を見直します。たとえば骨を丈夫にしたいと思えば、食事からカルシウムやビタミンD、Kなどを多く摂取する必要がありますが、カルシウムを多く含む牛乳や乳製品の摂取が苦手な方にはこれらの成分をサプリメントから摂取すれば効果的です。また、グルコサミンやコンドロイチン硫酸といったサプリメントが変形性膝関節症に効くと宣伝している商品も多くみられますが、サプリメントは医薬品ではなく、あくまで栄養補助食品ですのでその効果には個人差があります。過剰な宣伝をうたっている商品には注意が必要で、ご使用の際には医師にご相談ください。
Vol.4
立ち上がるときや歩きはじめに膝が痛い、正座や階段昇降時に膝が痛む、といった症状がある方、変形性膝関節症が疑われます。関節の軟骨が様々な要因によって摩耗し、炎症が生じ痛みの原因となります。この病気は女性に多く(男女比1:4)、肥満や高齢になるほど罹患率が増します。炎症が強いと水がたまることもあります。病状が進行すると安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、歩行が困難になります。初期から進行期の変形性膝関節症の治療方法には投薬やヒアルロン酸の関節内注射がありますが、いずれも痛みをとるための治療法で、すり減った軟骨が再生されるわけではありません。末期になるとこれらの治療法も効果がなくなり、手術が必要となることもありますので、そのような状態に陥らないような対応策が必要です。
それには膝関節に対する負担を軽減することが重要です。標準体重を大幅に上回っている方は減量により関節負荷が軽減し、痛みが改善します。太っていなくても太ももの前の筋肉の力が低下している人では膝関節への負担が増しますので、この筋肉を鍛えることは有効です。また、正座を避ける、洋式の生活をする、膝を冷やさず温めて血行を良くするなどの注意が必要です。このような注意をしていても痛みが続く方は専門医にご相談ください。
Vol.3
手指がしびれるという症状を経験したことはありませんか?手指のしびれの原因には様々なものがあります。高齢になると頚椎(首の骨)の変形が生じてきて神経を圧迫し、手指のしびれをきたすことが多くありますが、首のせいだと思ってずっと首の牽引や電気治療を続けてきたが全然よくならないという患者様の中に、絞扼性(こうやくせい)神経障害という神経の圧迫による病気が潜んでいることがよくあります。
神経が絞扼(圧迫)される部位は手首と肘が多く、主に人差し指や中指がしびれるときには手首での圧迫が多く、手根管症候群と呼ばれます。また主に小指側がしびれるときは肘での圧迫が多く、肘部管症候群とよばれます。治療せず放置しておくと、手の筋肉がやせて細かい動作がしづらくなることがあります。診断を確定するには神経学的所見とX線検査に加えて筋電図検査が必要です。
絞扼性神経障害は首の牽引や電気治療で改善することは通常なく、初期には投薬治療、装具療法、腱鞘内注射などの保存療法が有効ですが、進行期から末期になると手術が必要となることがあります。早めに整形外科専門医を受診されることをお勧めします。
Vol.2
ヒートショックは暖かい部屋から寒い廊下やトイレに移動したり、寒い脱衣所で着替えた後に熱いお風呂につかったりするなど、急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで生じる健康被害です。これが生じると意識を失ったり、ひどい場合には心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしたりする懸念があります。ヒートショックで死亡する高齢者の数は年間に1万人ともいわれています。これは室内で死亡する高齢者の1/4を占めています。夏場に熱中症で死亡する高齢者数が数百人程度であることを考えると冬のヒートショックは大きな問題だということがわかります。特に高齢者は体力が衰えていて冬場の急激な温度変化についていけずヒートショック状態になってしまします。特に家庭の浴槽内の溺死事故につながるケースが多くなっていますので注意が必要です。
ヒートショックを防ぐには食後の血圧が下がっているタイミングでの入浴は避け、簡易的な暖房機を設置して服を脱ぐ前に脱衣所を温めるとよいでしょう。高齢者がいる家族は入浴中に声かけをするなどの気配りも必要です。今年の冬は例年に比べて寒波の勢いが強いので、ヒートショックにならないように特に注意して温かい春の到来を待ちましょう。
Vol.1
朝晩めっきり冷え込む季節となりましたが、寒くなると夜中に急にこむら返りが生じて眠れないといったことで悩まれる方も多いかと思います。「こむら(腓)」とはふくらはぎのことで、こむら返りはふくらはぎ(腓腹筋)の痙攣を意味します。いわゆる「足がつる」というのもこのことが多いです。
激しい運動中や水泳中、睡眠中などに生じやすく、原因は筋肉の疲労、水分や電解質の不足、筋肉の冷えなどが主なもので、腎不全や甲状腺機能低下症、下肢静脈瘤などの病気を伴うこともあります。
治療方法は、ふくらはぎや足の指をストレッチすることですが、その後患部を軽くマッサージしたり、温めたりすることで痛みが緩和します。芍薬甘草湯という漢方薬もよく効きます。
予防方法は運動の前後によくふくらはぎのストレッチングをすること、運動中に水分や電解質の補給を行うことです。スポーツに関係なく日常的に生じる場合は、毎朝体操をしてふくらはぎをストレッチングしておき、水分や電解質が不足しないように普段から心がけ(果物やスポーツドリンクを摂取しましょう)、ふくらはぎが冷えないように気をつけるとよいでしょう。